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Wi-Fi8(IEEE802.11bn)とは?Wi-Fi7との違いや次世代の「超・高信頼性」を解説

最近ようやく「Wi-Fi7対応」のルーターやスマホが普及し始めたところですが、早くもさらに次の世代である「Wi-Fi8」の足音が聞こえてきました。
「7が出たばかりなのにもう8?」「通信速度はこれ以上速くなるの?」と驚く方も多いはず。

そこで今回は、現在策定が進められている次世代の無線LAN規格「Wi-Fi8(正式名称:IEEE802.11bn)」の基本や、Wi-Fi7との違い、今後の注目ポイントについて分かりやすく解説します!

2026/4月時点段階を記載してます。
2028年頃の初期デバイス登場を目指して、技術仕様の策定が進められている段階のため正式版では異なる場合がございます。

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Wi-Fi8とはIEEE802.11bnのこと(テーマは「超・高信頼性」)

IEEE(米国電気電子学会)が定めている無線LANの標準規格が「IEEE802.11」シリーズです。
今回解説するIEEE802.11bnは、第8世代のWi-Fi規格であることから「Wi-Fi8」と呼ばれます。

実はWi-Fi8の最大の特徴は、「最大通信速度などの基本スペックはWi-Fi7とほぼ変わらない」という点にあります。
これまでのWi-Fiの歴史は「いかに最高速度を引き上げるか」でしたが、Wi-Fi8は「UHR(Ultra High Reliability = 超・高信頼性)」をテーマに掲げ、実環境での「途切れにくさ」や「実際の通信速度(実効スループット)の底上げ」に全振りした規格となっています。

Wi-Fi世代と規格一覧(Wi-Fi5〜8)

近年の無線LAN世代と規格を比較すると、下記のようになります。

世代規格策定・普及時期周波数最大速度(理論値)
IEEE802.11ac2014年5GHz6.93Gbps
IEEE802.11ax2020年2.4Ghz/5GHz9.6Gbps
6EIEEE802.11ax2022年2.4Ghz/5GHz/6GHz9.6Gbps
IEEE802.11be2024年〜2.4Ghz/5GHz/6GHz46Gbps
IEEE802.11bn2028年頃(予定)2.4Ghz/5GHz/6GHz46Gbps(※7と同等)

2028年頃の実用化に向けて策定中

表にある通り、Wi-Fi8の理論上の最高速度や、使用する帯域幅(最大320MHz)、変調方式(4096-QAM)といった「スピード」に関わる基本スペックは、Wi-Fi7のものをそのまま踏襲する見込みです。
現在は、2028年頃の初期デバイス登場を目指して、技術仕様の策定が進められている段階です。

IEEE802.11bn(Wi-Fi8)の主な新機能・メリット

「スペック上の数字が変わらないなら、何がスゴイの?」と思われるかもしれません。Wi-Fi8の進化の鍵は、「複数のアクセスポイント(ルーター)同士の連携(AP Coordination)」にあります。具体的な進化のポイントは下記のとおりです。

1. Co-SR(協調型空間再利用):電波干渉をルーター同士で回避

オフィスやマンションなど、複数のWi-Fiルーターが密集している環境では、お互いの電波が干渉して速度が低下してしまうのが悩みの種でした。
Wi-Fi8で導入される「Co-SR(Coordinated Spatial Reuse)」では、近隣のアクセスポイント同士が自動で通信状態を調整(協調)し、電波の出力を賢くコントロールします。これにより、混雑した環境でもお互い邪魔することなく、全体のネットワーク効率を大幅に引き上げることができます。

2. Co-BF(協調型ビームフォーミング):狙った端末へ正確に電波を届ける

端末に向けて電波を絞って飛ばす「ビームフォーミング」技術も進化します。
従来のルーターは単独でビームフォーミングを行っていましたが、「Co-BF(Coordinated Beamforming)」では複数のアクセスポイントが協力して、電波の向きや干渉(ノイズ)を制御します。メッシュWi-Fi環境などで家の中を移動しても、常に安定して強い電波を受け取れるようになります。

3. 動的サブチャネル割り当て(Dynamic Sub-Channel Allocation)

Wi-Fi7で導入された「マルチRU(干渉している帯域を避けて通信する機能)」をさらに賢くしたような機能です。
Wi-Fi8では、通信する端末の要求やネットワーク全体の混雑状況に合わせて、リアルタイムで最も効率的なサブチャネル(細かな周波数帯)を自動で割り当てます。これにより、「一部の端末が帯域を独占して他の端末が極端に遅くなる」といった状況を防ぎ、すべての端末がスムーズに通信できるようになります。

まとめ:Wi-Fi8は「カタログスペック」から「真の快適さ」へ

これまでのWi-Fiは「理論値で何Gbps出せるか」というカタログスペックの競争でしたが、Wi-Fi8からは「実際に私たちが使ったときに、いかに遅延なく、途切れず、安定して通信できるか」という本質的なユーザー体験(UX)の向上へと舵を切りました。

実際に市場に登場するのはまだ数年先(2028年頃)になりますが、スマート家電やオンラインゲーム、AR/VRデバイスなど、家庭内でネットに繋がる機器が爆発的に増え続ける未来において、この「超・高信頼性(UHR)」を備えたWi-Fi8は必須のインフラになるはずです。
今後のルーター選びやガジェットの動向として、ぜひ頭の片隅に置いておいてくださいね。

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