現在、話題に成っている風疹 http://www.pref.osaka.jp/chikikansen/kansen/25fushin-taisaku.html についての記事が目に留まったので思うところを少し
思い起こす事数ヶ月前 私が日々の忙しさやらを理由にワクチン接種を放棄していた事を知った先輩が この様な話をしてくれました
「かのアガサ・クリスティ氏の著作に『鏡は横にひび割れて』と言う話がある。先ずそれを見ろ。」
数日後、私は近所の診療所に足を運びワクチン接種を受けました 掛かった時間は簡単な検査を含め5分程度と、拍子抜けするほど呆気ないものでしたが これで自分が加害者(そして被害者)に成ると言う恐怖から解放された安堵の気持ちを今も覚えています。
風疹ウイルスは ウイルスに免疫の無い妊婦が風疹に感染すると、胎児に対して極めて強い悪影響を及ぼすと言う危険性を内包しています。新生児に対し【奇形や脳障害等を引き起こす極めて悪質なウイルス】です。 http://health.goo.ne.jp/medical/search/101c0200.html
冒頭で紹介した『鏡は横にひび割れて』のあらすじを掻い摘んで話しますと
「高名な女優が、自分に会いに来たファンを殺害し、自分が狙われたと細工をする」
と言う一見、非常にシンプルなものです
しかし、この話の本当の恐怖はその殺人が行われた動機にあります。
◆実はこの女優には子供が一人いた 彼は生まれて間も無く【先天性風疹症候群】を発症し重度の知的障害を患ってしまう 飛躍の時期を迎えつつあった女優である彼女は世間にこの事を公表する訳には行かず、泣く泣く息子を施設に預ける事に成り、夫とも別れる事に成ってしまう。
ところが母親は風疹に掛かった覚えも無ければ、何処でウイルスに感染したのか全く見当がつかない。苦悩を抱えつつも彼女は女優として成功を収め、不動の地位を手にする。しかし我が子に対し自分がした仕打ちに対する後悔と慚愧は、常に彼女を苦しめ続けていた
それでも どれだけ考えても、思い返してみても皆目見当が付かないのだ
一体何処で、自分がそのウイルスに感染したのか
何が、原因だったと言うのか。
そして月日は流れ、 名実ともに老齢な大女優となった彼女がイングランドの田舎町で催されたパーティーに出席したまさにその日、
鏡は音を立てて真一文字にひび割れたのだ。
出席者の中に、ある一人の女が居た。彼女は女優の大ファンで、女優が頭角を現し始めた頃のとあるイベントに出席した事があると語る。若く分別の無かった自分は、【風疹を発症しつつも彼女に会いたい一心でイベントに赴き、興奮して女優にキスや握手までせがんでしまった】のだと、さも自慢げに
その瞬間、女優は総てを悟った 妊婦であった自分に風疹ウイルスを感染させ息子の人生を奪い、償う事も出来ない苦しみを私に与えたのは
こ の 女 だ っ た の だ
と。
・・風疹の他にも「知らずして自分が媒介者と成り、第三者の人生を破壊してしまうウイルスや病原菌」と言うのは恐らく星の数ほども存在するのでしょう
しかし、こと「風疹」と言う対象に対しては、ワクチンを接種すると言う自分の努力次第で僅かでも 【加害者や被害者に成る危険性を下げる】ことが出来ます
ではそれだけ対策がはっきりしているのに、どうしてこれだけ感染に歯止めが聞かないのか。
それはとりもなおさず 値段です ワクチン接種は保険が効かないため、全額が実費負担。金銭に余裕の無い人間が、おいそれと払える金額ではありません(自分が受けた時は12,000円でした)。
ワクチンを受けたくても、受けられない人が居る
その結果、今も風疹ウイルスが街中で猛威を振るっているのです
既に緊急事態宣言が発令されたこの現状 厚生労働省 の早急かつ懸命な対応を願わずにはいられません
そしてこれを読んで下さった方々が 多忙な中でも僅かばかりの隙間を作って、ワクチンを摂取してくださる事も。
貴方の行動で救える命が 守れる人生がある
それはきっと 廻りまわって 何時かあなたを救うことに成ると
私はそう 思うのです。