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IEEE802.11ax(Wi-Fi6)

2020年4月4日

最近Wi-Fi6対応!って記載されているルータや記事が多く見るようになり、Wi-Fi6ってなんぞや?となったので調べてみました。

Wi-Fi6とはIEEE802.11axのこと

IEEEとは米国電気電子学会とのことで、電気・電子工学・コンピューターなどの分野における技術の標準規格を行っている組織です。
その中で、無線LANに関するものはIEEE802.11で取りまとめています。

IEEE802.11axは第6世代のWi-Fi規格ということでWi-Fi6と呼ばれており、最大速度9.6Gbpsです。
古くから無線LANの規格を知っている人はIEEE802.11のほうがわかるんじゃないかと(少なくとも私はそうです)

Wi-Fi世代と規格

無線LANの世代と規格は下記のようになります。

世代 規格 策定時期周波数最大速度
IEEE802.111997年6月2.4GHz2Mbps
IEEE802.11a1999年10月5GHz54Mbps
IEEE802.11b1999年10月2.4GHz22Mbps
IEEE802.11g2003年6月2.4GHz54Mbps
IEEE802.11j2004年12月5GHz54Mbps
IEEE802.11n2009年9月2.4GHz/5GHz600Mbps
IEEE802.11ac2014年1月5GHz6.93Gbps
IEEE802.11ad2013年1月60GHz6.8Gbps
IEEE802.11ax2020年6月2.4Ghz/5GHz/6GHz(?)9.6Gbps

2020年6月に仕様確定(予定)

表から見るように2020年3月時点ではまだ確定ではない。(仕様の最終確認で2020年6月に確定予定)
そのため、今市場に出回っているWi-Fi6はドラフト版で回っていることになりますね。
ドラフト版とはいえ、バグが見つからない限り技術的な仕様変更はされないようです。

変更点

IEEE802.11axによる変更点は下記のとおりになります。

MU-MIMOがUP LINKに対応・ MU-MIMO自体も高速化

複数のアンテナを用いてデータを分割して送受信し、 高速化する技術をMIMO( Multiple Input Multiple Output )
複数のアンテナを用いて複数ユーザが同時にデータの送受信ができる技術をMU-MIMO(Multi User Multiple Input Multiple Output)
と呼びます。
Wi-Fi5(802.11ac)ではDown Link(無線アクセスポイント⇒端末)通信のみMU-MIMOに対応していたのですが、Wi-Fi6(IEEE802.ax)よりUp Link(端末⇒無線アクセスポイント)にも対応するようになります。
Up用アンテナ、Down用アンテナそれぞれ3本以上必要なのですが、複数の端末が一斉にデータを上げても遅延が発生しにくくなります。

また、MU-MIMOがUp Linkに対応しただけでなく、高効率化を実現するためにMU-MIMO自体も改善を行っているようです。
・無線アクセスポイントが端末のデータの送信を制御するためにトリガーフレームの実装
・HE Acknowledgmentを使った応答手順の効率化
・Protection Mechanismでシーケンスの保護

OFDMAの導入

携帯の無線技術で利用されているOFDMAがIEEE802.axに実装されるようです。
OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)とは簡単にいうと1つのチャンネル周波数を小さく分割し、この周波数はこの端末から送られてきたものだ!と認識するための技術です。
今までのWi-Fiは1アンテナでデータやりとりできるのは1端末であり、複数の端末とデータの送受信をすることになると時間を区切ってA端末、B端末、C端末、A端末・・・と通信してました。
MU-MIMOを使っても結局は複数アンテナを用いてデータのやりとりを行うので、アンテナ数以上の端末(制御アンテナがあるので正確にはアンテナ数ー1)があると速度低下しました。
これが周波数ごとに端末を割り当てることで、複数端末からデータのやりとりができるようになるんですね。これでフリーWi-Fiとか無線LANを使用している企業の速度低下も防げるかも。

Spatial Reuseの導入

周波数リソース空間の再利用を促進するためSpatial Reuse技術が導入されるようです。
Spatial Reuseとは、既に誰かがチャネルを使用している状態であっても先にデータを送受信している端末に影響を及ぼさない場合はデータが送れるという仕組みです。
今までは誰かがデータのやりとりが行っている場合、そのデータが終わるまで待機(CSMA/CA)でしたが、上記のMU-MIMOやOFDMAの導入にあたって重畳的にデータやりとりができるようになるようです。

1024QAMへ高密度化

電波の振幅と位相(変調)のバリエーションを10ビット(1024QAM)に変更し、IEEE802.11acで使用していた8bit(256QAM)よりも伝送できるデータ量を多くなりました。
(その分ノイズに弱くなるのでケースバイケースなのですが)

といってもIEEE802.11axでの新機能ではなくRT-AC88Uとか一部のルータではすでに1024QAMやっているんですけどね

6GHz帯がサポートされるかも

IEEE802.11ax、6GHzが無線資格不要で利用できるように取り組みを行っているようです。
日本でも6GHzの利用に向けて調整を行っているようですが、まだまだ先になりそう。
(2019年7月に電波法改正で無線LANで使用できる5GHz周波数の範囲が増えましたけど)

最後に

今までは高速化だったのが、効率化にシフトするような動きになっています。1端末で9Gbpsとかいらないもんね
最近色んなデバイスが通信できるようなってきているし、今後もこういったものが増えていくんでしょうな。

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